品質


 テルミンと称する装置を製造販売する工房、メーカーはいくつもありますが、そのほとんどはテルミンを”楽器未満”なガジェットと認識しています。我々は代表の竹内正実の他、スタッフもテルミン奏者であり、テルミンという楽器に心酔しています。そんな我々がつくるのですから、世間的な妥協はありません。


 考えてみればテルミンのような楽器はエンジニアだけで創れるものではありません。テルミンの発音原理そのものはとてもシンプルですが、それを楽器の水準にまで昇華させるのはまったく別の技術やノウハウが必要です。


 豊富な演奏経験や演奏教授経験のノウハウ、そして卓越の技術。このトリニティを有するのは世界広といえど、我々だけです。


 テルミンで美しい音色を、豊かな音楽を奏でたい。そんな貴方のためにあるのが、我々の創るテルミン、マトリョミンです。

 マトリョミンはマトリョーシカをボディに使っていたりして、どこかゆるくおふざけ的に捉えられている向きもあると思いますが、我々は大まじめです。音色、発音特性の良さにおいて、ワン・アンテナ・テルミン(ピッチだけを変えるテルミン)にライバルはいません。もし貴方がすぐれたテルミン奏者、ミュージシャンであるならば、マトリョミンを手にとって発音させれば、そのポテンシャルの高さがすぐにお分かりいただけるはずです。


 「家にあるテルミンよりマトリョミンの方が音が良い」というお声を耳にすることがあります。マトリョミンは電子楽器ですから最終的な音の出口はスピーカーですが、菩提樹の木を削りだしのマトリョーシカを共振させることで音を創っています。それはギターやバイオリン等、アコースティック楽器の音作りとまったく同じ。弊社の創る楽器の電子楽器っぽくない点の理由のひとつがレゾナンス(共振)です。

 我々はテルミンも創りました。これは我々の究極的なテーマのひとつでもあり、夢でもあったのですが、そうせざるを得なかった状況が思いの外早く訪れたことも、思いの外早く開発に着手することになった理由のうちのひとつです。

 

 私はBigBriar社(現MoogMusic)製Series91Aテルミンを長年愛用していました。美しい音色とすばらしい音量変化特性をもった希有なテルミンで、私の演奏法のスタイルは、この楽器により育まれたと言っても過言ではありません。この楽器は1997年に製造終了してしまいました。その後日本にはテルミン人気の大波がやってきますが、その頃この楽器は中古でしか入手できず、国内のブローカーを介して入手するのが一般的でした。しかしこのブローカーがよろしくない人で、楽器に対する愛情がないだけでなく、100万円から120万円もの高値を付けて売っていました。私の弟子も6-7人このブローカーからSeries91Aテルミンを手に入れましたが、こんなおかしな状況をなんとかしたかったのが、テルミン開発着手の動機でした。

 

 我々のテルミンGordinMasazaneはSeries91と同じ発音方式です。この二機種以外は基本的に古典的なテルミンの発音方式に同じです。Gordin MasazaneとSeries91テルミンは大ざっぱにいえばアナログシンセサイザーの音源が搭載されています。また、Goridin Masazaneには強力なフィルターが搭載されておりまして、これが他にはない独特の音の塊感、”立つ”音色の創造に寄与しています。

 

2014.5 竹内正実