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テルミン(Theremin)は1920年、ロシアの天才物理学者にしてチェロの名手だったレフ・セルゲイヴィッチ・テルミン(Lev Sergeevich Termen / Leon Theremin)(1896-1993) によって発明、1921年に発表された世界最古の電子楽器。楽器に直接触れることなく、空間にかざした手の動きによって演奏する。
アンテナの周囲には微弱な電磁場が形成されており、垂直アンテナに対し手を近づけたり遠ざけたりすることによって、楽器と奏者の間に形成される静電容量が変化、本体内部の二つの高周波発振器のうちの一つの周波数を変動させる。他方の発振周波数は固定されていて、両者の差、すなわちビートから実際に出力する音を抽出する。右手を垂直アンテナに近づけると音の高さが上昇し、左手を水平アンテナから遠ざけると音量が大きくなる。機種によって多少の違いがあるが、5オクターブほどの発音域を有する。
テルミンには鍵盤や指板といった、音の高さを定める基準が存在せず、演奏者の耳と、訓練された正確な所作だけが音の高さを定めるよりどころとなる。演奏者の動作、所作が敏感に音に変換される為、演奏者の技量は言うまでもなく、心理状態や性格までもはっきり音に表される。
ミュージックシンセサイザーの祖とされるテルミンだが、その音色、得られる音印象においてずいぶん趣を異にしている。作り出せない音色は無いといわれる現代のシンセサイザーに対し、テルミンには音色合成機能はなく、テルミンの有する音色そのものは実にそっけない「電子音」だ。制御において人間に任されている部分がとても多い為、奏法によってその音色の印象は大きく異なる。良くも悪くも、演奏する人が持っているものを正直に音に変換してしまうのがテルミンである。よく訓練された奏者によるテルミン演奏は表現力に富み、あたたかく、存在感のある音印象を醸し出す。
もともと奏法習得が極めて難しいとされていた上、東西冷戦によりロシアからテルミンに関する情報がほとんど発信されなかったことから、
演奏家人口が少ないのも特徴
。
日本では2001年にドキュメント映画「テルミン」が公開され、注目を集めた。