マトリョーシカは、1年ほど寝かし水分をとばした菩提樹の木を素材としています。マトリョーシカはじめ木彫品の複雑な形状は、すべて職人の手作業で削り出されます。
削り作業が完了したマトリョミン用のマトリョーシカ。下半身にくらべ上半身の方が水分含有量が多くなるように木を選別しているそうです。そのことにより、上半身と下半身とがしっかり結合できるようになる、とのことでした。
絵付け作業は完全に分業されています。
まずはじめにコンパスを使い、顔の輪郭線を描きます。みなさんのマトリョミンをよく観察してみてください。ひたいのあたりに小さなくぼみが確認できるはずです。これがコンパスの軸針がたったところ。すなわち顔の中心点なわけです。
つぎに各部の輪郭線を描き、顔を描き込みます。マトリョーシカの顔は、その絵付け職人の顔がモデルになっていると聞きました。
水性絵の具で色づけをします。マトリョミンの筐体として用いているマトリョーシカは、赤いサラファン(ジャンパースカート)に黄色いプラトーク(スカーフ)が特徴的な「セミョーノフスカヤ」と呼ばれているクラシカルな絵柄です。
頭部によくみられる「グリグリ」模様は、布を巻いた断面にインクを付けてスタンプのように押印していきます。「模様になにか意味があるのか」と問うてみたところ、「特にない」とのことでした。
最終工程がニス塗りです。ニスを表面に塗布することで水分から木を護り、表面の強度を増すことができます。工場全体で100名ほどの職人が各工程で作業していますが、ニス塗りを担当するのはこの女性ただひとり。そして驚くべきは、なんとニスを直接素手で塗っているのです。こうすることで素速く、液ダレせずに厚く塗ることができるのだそうです。手も荒れるでしょうに、本当にご苦労様です。
ニス塗りも終わり、乾燥させているところ。下段左に見えるのは猫型のマトリョーシカ。同じ大きさの小さな仔猫が内部にたくさん入っています。
マトリョミンの筐体として用いられるマトリョーシカは、
モスクワから東に約530キロにある
セミョーノフという町でつくられています。
工場を見学してみましょう。